2009年11月 1日 (日)

野村監督関連本として

 野村監督の関連本として、『「野村学校」の男たち』(永谷 脩 徳間書店 本体1300円 2009/09 発行)という一冊がある。

 この本は、野村監督の「教え」を受けた男たちのエピソード集となっている。
 聞き書きのスタイルで書かれているので、読みやすく、読んでいて語られるエピソードに引き込まれてしまう。
 全部で37人の男たちが登場するが、その男たちの魅力も語りの中からあふれ出てきて、野村監督の魅力と絶妙のハーモニーを奏でている。
 山崎武司、岩隈久志、草野大輔ら楽天の選手をはじめ、宮本慎也、荒木大輔、渡辺久信、稲葉篤紀、平尾博嗣、成本年秀・・・と多彩な顔ぶれが登場してくるので、野村監督の「人づくり」の幅広さを感じるとともに、野球というスポーツを仕事にすることで「考え方」「生き方」を教えるという野村監督の指導者としての一貫した姿勢と情を感じ取ることができた。

2009年8月15日 (土)

 夏の読書は涼しいうちに

 夏の読書は涼しいうちに・・・である。とくに早朝に散歩をして読書をすると気分爽快。

 さて、「ステップ」(重松 清 中央公論新社 本体1600円 2009/03 発行)を読んだ。

 この本は、父子家庭を題材にした小説だ。
 父子家庭の女の子の2歳から小学校を卒業するまでの10年間が、温かな視点で
さりげない問題提起をする鋭く確かな筆致で描かれる。
 一つ一つの小さいようで大きな課題を、父と娘が周囲の人々とともに乗り越え
て共に成長していく過程を、読者は、父の目から娘を見ながら、(父にとって
の)義父、義母とのかかわりや保育所、学校とのかかわりを中心に読み進めるこ
とになる。
 そして、父と遺影で登場する妻(母)、父の気になる女性たちとの会話が軽妙
で読んでいて小説の中に引き込まれてしまう。
 子供の成長には、寄り添う周囲の大人の存在が欠かせないことを改めて感じた
心温まる小説だった。
 親として、短いお盆休みに読むのにもよい一冊だと思った。親でなくても、子育てが済んでいても、もちろん読んで楽しめる。

2009年8月13日 (木)

駅伝小説

 「チーム」 (堂場 瞬一  実業之日本社  本体1600円  2008/10 発行)を読んだ。 

 この本は、スポーツを題材にした小説だ。そして、題材にしたスポーツは、「箱根駅伝」だ。箱根駅伝は、その苛酷さとドラマ性ゆえに近年注目されてきた大学生の「長距離」陸上競技である。
 タイトルにもなっている「チーム」として取り上げているのは「学連選抜」。
 「学連選抜」とは、予選会で敗れた各大学のチームから選抜した選手による「寄せ集め」のチームのことである。
 その「寄せ集め」のチームがどのようにして「チーム」となり、箱根駅伝に臨み、その箱根駅伝でどのような結果を出すか・・・がフィクションとして人間模様中心に描かれている。
 駅伝レースの場面では、ハラハラドキドキ・・・という展開とテンポのよい筆致で読者の心をとらえる。
 予選会で敗れた「敗れし者」たちのチーム「学連選抜」が勝利を賭けて挑む二日間の箱根駅伝はどのような結果になるのか・・・。
 まさに感動の駅伝小説である。

2009年2月 8日 (日)

芸術言語論

「芸術言語論」への覚書(吉本隆明 李白社 本体1700円 2008/11発行)

 戦後思想界の巨人、吉本隆明が80歳を超えて綴る知的エッセイ集というべき本
です。
 神話伝承や古謡などについて語っている「言語芸術論」もさることながら、吉
本隆明の生い立ちや生き方にもふれている「人生についての断想」がなかなかお
もしろくて一気に読める内容でした。
 その内容の一部を紹介しますと、「勉強よりも時間のテンポを合わせる」「遊
びを知っていた漱石、生涯遠慮していた鴎外」「実生活で人の役に立つ知とは何
か」「枝葉ではなく幹を捉える」「知識を養うと愛はどう変貌するか」「ウマが
合う人と合わない人は何が違うのか」「夫婦が別れないために必要なこと」とい
うような内容です。難しく興味深い内容を戦後思想の巨人が上手に料理してわか
りやすく知的に語ってくれています。
 また、最後には、家で飼っているねこについて独特の目線で語っていて、実に
楽しく読むことができた一冊でした。

 過日、テレビで「芸術言語論」を語る吉本隆明氏を拝見しました。高齢になられても意気盛んに思想を語る吉本氏・・・。さすがだと感服しました。

2008年12月28日 (日)

新たな教育論を発見!

 「街場の教育論」(内田 樹 ミシマ社 本体1600円 2008/11発行)を読みました。

 新たな発見というか気づきがあり、貴重な視点を与えてくれる教育論だと思いました。

 著者は、フランス現代思想が専門の大学教授です。その著者の「比較文化・文学」の講義を加筆修正して本にまとめたものです。内容は難しいのですが、学生向けの講義なので?読みやすくわかりやすくなっています。そして、おもしろい!のです。
 難しいのですが、よく考えてみると当り前のことが書いてある・・・という印象の内容です。
 逆にいえば、教育改革をめぐる教育論が当たり前のことを前提にしていない・・・ということもできます。
 たとえば「教育制度を『新品と取り替えること』は不可能である以上、『教育改革』というのは、『ありもの』の機構と『ありもの』の教員の潜在的なパフォーマンスをどうやって最大化するかという国民的課題に収斂します。」とか「文科省の行政指導の中に『教師に自信を与え、勇気づけ、自尊感情をもたらす』ことを目的として立案された政策は一つもありませんでした。」という
ような極めて重大な指摘を当たり前のようにしているのです。考えてみれば当たり前だけれど、忘れてしまっている点を指摘しているのです。改めて、自分の思考がいかに硬直化しているかを痛感した本でもありました。

2008年8月17日 (日)

最近読んだ新書5冊

 最近読んだ5冊の新書です。
 
1 『コンサルタントの「現場力」』   野口吉昭  PHP  800円
  「現場力」とは、仕組む力と仕掛ける力だという。
  仕組む力は、仕組みを作る力である。仕掛ける力は、仕組みを使って実際に動いてい く力である。コンサルタントという仕事が現場で何をする仕事なのかがわかる本となっている。

2 『察知力』  中村俊輔  幻冬社  740円
  サッカー選手である中村俊輔氏が書いた本である。
「考えることで足りないものを補った。」「細かいことを感じるか、感じないかで成長が違ってくる。」というように、考えること、感じることが大切だと主張している。

3 『人生は勉強より「世渡り力」だ』  岡野雅行  青春出版社  750円
  「何とかお金をかけないで情報を得ようなんて考えるから、最高の情報源である人間にそっぽを向かれちまうんだよ。人間を大切にする。大切にするためのお金は惜しまない。それが世渡り力の原点だな。」
  町工場の経営者である岡野氏は「人と情報の使い方」の名人である。

4 『偽善エコロジー』  武田邦彦  幻冬社  740円
  「レジ袋は石油の不必要な成分を活用した優れものであって、レジ袋をやめてエコバッグにすると、かえって石油の消費が増える」「古紙のリサイクルをすればするほど森林は荒廃していく。」「ゴミはほとんどが焼却されるので、金属とそれ以外に分けるだけでよい。」というようにエコ生活の問題点を指摘している。

5 『続ける力』 伊藤 真 幻冬社 720円
  何事も続けることが成功の最短ルートである。
  そこで、続けるための技術が必要になる。
この本には、「やる気を続ける技術」「学び続ける技術」「勉強・仕事をやり遂げる計画術」「ピンチを切り抜け、事業を続ける技術」などが書かれている。

2008年5月18日 (日)

「野村監督に教わったこと」

 「野村監督に教わったこと」(山﨑武司 講談社 本体1400円 2008/02発行)を読みました。
 筆者は、目下、パ・リーグの首位打者で、昨季の2冠王の山﨑武司選手(楽天イーグルス)です。当初「水と油」と思い込んでいた野村監督とのかかわりを具体的なエピソードで語っています。本のサブタイトルが「僕が38歳で二冠王になれた秘密」となっているのもよくわかる内容です。人間教育をする野村監督に出会って山﨑武司選手が変わっていくのです。これまでも池山選手(元ヤクルトで現在は楽天のコーチ)が書いた本もありましたが、現役で野村監督の考えを監督とのかかわりで、現在進行形で書いた本はなかったと思います。今の楽天イーグルスの強さを支える主軸打者の本としても楽しめます。プロ野球がもっとおもしろく感じるようになる一冊です。

2007年5月 6日 (日)

連休に読んだ本2

『「江戸しぐさ」完全理解』

越川禮子 林田明大 三五館 本体1300円 2006/12発行

 筆者は、「江戸しぐさは元来、江戸の商人たちが、町が安泰で商売が繁盛するために、お客様と良い関係を築き、それを保つにはどうすればよいかと、あれこれいろいろと知恵を絞り、工夫を重ねて磨き上げた人づきあいのノウハウがベースになっています。」といいます。
 そのことがよくわかる一冊になっています。
 たとえば、「三脱の教え」というのは、初対面の人には、年齢、職業、地位を聞かないというルールのことです。「即実行」は、江戸しぐさの基本姿勢で、つべこべ言う前におやんなさいということ。「お互いさま」は、江戸しぐさの共生の精神がよく表れたことばで、「ありがとうございます」に返すことばだそうです。「こぶし腰浮かせ」は、こぶし分だけ腰を浮かせて席を詰めること。「肩引き」は、すれ違うときは肩を後ろに引いて互いにぶつからないようにすること・・・というように、さりげない「マナー」としての「しぐさ」について解説してあります。
 マンガ版も「江戸しぐさ入門」として、同じ出版社から出ていてこちらも読みやすい本になっています。
 どちらも「おもいやり」を考えたい方におすすめの本です。

連休に読んだ本1

「自壊する帝国」

佐藤 優 新潮社 本体1600円 2006/5発行

 筆者は、外務省に勤めていたときに「背任と偽計業務妨害容疑」で逮捕され、512日拘置所に勾留された人物です。
 (そのときのことはすでに「国家の罠」という本になっています。)
 この自壊する帝国の帝国とはソビエト連邦のことです。
 つまり、この本は、ソビエト連邦が崩壊していく過程をその現場にいた著者が、自分の行動を通して事実を記録した内容になっています。
 その当時のソ連がどのような状況であったか、ソ連の生活文化、日本の外交官としてどのような行動をしていたのかが書かれています。
 外務省の体質や仕事についても知ることができます。
 スパイ小説のような事実を読むことのできるドキュメントです。
 外交の「かけひき」等を知りたい方にはおすすめの一冊です。